『相続登記が義務化へ』

『相続登記が義務化へ』

先日の新聞で、相続登記の義務化に向けて動き出したという記事が出ておりました。
※2021年4月21日の参議院本会議で成立し、改正法は2024年度に施行される予定です。

相続した財産も負債も税金に関しては、10ヶ月以内に申告が義務付けられ、
放棄をする場合も3ヶ月以内となっています。
相続登記については、基本登記してくださいとしかなってないし、特に咎められない。

なんてことで、なあなあな感じとなっていることが非常に多い。
これが後に大問題になるなんて、
誰も思っていないから余計にタチが悪いのかもしれないです。

どんな大問題なのかというと

● いざ売却しようとしたら、相続者の1人が認知症にかかっていて売却できない
● 祖父の代から登記をせずにいたら、相続者が50人もいることが分かった
● 仲の悪い親族がおり、収集がつかない
● 自分の知らない兄弟が出てくる
● 兄弟間でもめてしまい、連絡先も分からなくなり、塩漬けに

などなど、枚挙に暇がないくらい列挙できる。
そして、こういった例をいくつも相談を受けた経験があります。
「いやいや、ウチは大丈夫でしょ。」
と、上記の例の方々も当時、思ったことでしょう。
要は、『人生、何が起こるかわからない、やれるときにきちっとやっておこう』
ということです。

学校で教えてくれない『相続登記』

まあ、そもそも相続登記が義務化されていないことが問題だったとは思います。

不動産を相続した際にちゃんと相続登記をしましょう。
ご家庭できちんと話をしてどなたがどうやって相続するかを決めておきましょう。

な〜んてことを学校で教えてもらうこともないですから、
直面するまで考えたこともなかった、ということがほとんどですよね。

税金は納期限があり、請求がくるから払う。
免許の更新は、更新しないと失効してしまうから更新に行く。
借金は返さないと取られてしまうから返す。
と、まあマイナス面が明白で、皆の意識にあるものはとりあえず、
なんとかしようとしますよね。

なぜ、相続登記は違ってるんでしょうね。
この土地はこの人のものだ、と示すことは当たり前のような気がします。
30人いる下宿で冷蔵庫にジュースを入れておいて、名前書いてないと
飲まれちゃうと思ったら書きますよね。
不動産はそうそう取られるものじゃないから書かないってことでしょうか。
なんにせよ、制度として義務化への方向性で進んでいきますので、
今後可能性がある方はしっかりと備えていきましょう。
義務化というからには当然、罰則が制定されます。
『3年以内に登記しなければ10万円以下の過料を科す』
だそうです。

また、並行して、一定の要件を満たせば、相続した土地の所有権を手放せる制度も新設するそう。
ちょっと複雑なのは、要件がいくつかあります。

さらに個人所有の土地としていた場合は、管理は個人が行い、固定資産税という収益が国に入っていましたが、国に帰属となった場合、収益が入らず、代わりに国が管理をするという手間が発生する為、

とのことです。
これが複雑ですね。
一体、いくらかかってくるのか…。
まあ、できれば、個人で所有し、固定資産税を払ってくれよ、というのが本心ということでしょう。
考え方ですが誰かにあげてしまった方が、安上がり、ということにもなってしまいます。

古家付きの場合は、さらに解体もしなければなりません。
解体費用も右肩上がりで、ここ数年でさらに上がることが決まっているそうです。
借金がある場合はその分を返済して担保を外してもらうことが必要です。
と、諸々考え始めると、帰属することもなかなかハードルが高そうですね。

そういった悩みがありそうでしたら、売却を中心に弊社にご相談ください。
とまあ、宣伝はこのあたりにして。

不動産屋にとっては、この義務化は非常にありがたい話ということになります。
なぜかというと、誰がその土地や建物を所有しているか、
ということが調べられるからです。
なぜ調べられるのかというと、登記をしているとその場所が分かれば、
法務局でその登記をした謄本を取ることができるからです。
これのなにがいいのかというと、

「とてもいいところに空いている土地があって、
できればそこに新築の住宅を建てたいんです。」

という相談がきた場合、すぐに調べることが可能で、
その所有者に意向を伺えるということです。

今でもできるでしょ?
と言われそうですが、その通りです。
今でもできます。
ただ、結構相続していないパターンも多く、
謄本で調べられないとそれ以上は追いかけられないという状況です。

所有者不明の土地の面積は〇〇より大きい!

「そんなに相続していない不動産あるの?」
と思われるかもしれないですが、
実際、九州の面積を上回る410万ヘクタールが所有者不明との推計もあります。
九州ですよ?結構な広さですよね。

私たちの函館だけ、私の経験だけでも結構あります。

さらに今回の制度としているのが、

こちらは、不動産の所有者が引っ越しをした、結婚して姓が変わった等、
なにかしらの変更があった場合に、その登記を行うというものです。

と思いますよね。
相続登記よりこちらの方が圧倒的に認知度が低いです。
相続登記は、そのうちしなきゃな、と思ってますが、
変更登記は存在すら知らない、という感じです。

不動産の売却の際に、所有者と名義が同一かを確認する際に
登記した時と現在で住所が変わっている、なんていうことはめちゃくちゃあります。
ほんとに、めちゃくちゃあります!

当然20年前に相続してそれきり、ということだってあるのですから当然ですね。

こちらも土地の所有者を知る上では、非常に大切なことです。
義務化なので当然、10万円以下と5万円以下の過料が科せられます。

という意見が出そうです。ごもっともですね。
ただ、市の管轄と国の管轄で違う!
とか言われそうですね。
こういったことをマイナンバーの制度を使って簡単にするのが本来だと思います。
今回の義務化ももしかしたら、そうできるのかもしれません。

と、長々とお話をしてきましたが、
「結局よく分からない」
というかたも多いと思います。

とりあえず、

ということだけは知っておいてください。

ちょっと将来可能性あるな〜、と感じたら、
お近くの不動産会社や司法書士等々に相談してみてください。
当然、私どもにご相談も結構です。
お気軽にご連絡ください。

学校では教えてくれない、登記のお話でした。